□難問? シフトワイヤーの交換(2004.1/3)
メーターなんてめったに外さないと思い、シフト側のワイヤーも交換することにした。ワイヤーが短い上に末端がバラけており、黒いプラ製カバーのワイヤー穴に入れるのがえらく苦戦。チャンスがあれば、いつか交換してあげようと思っていた。
ボクにとってここは(も)ミステリーな部分。ライトケース内はグリスにまみれている。複雑そうな構造が良く見えない。見えないから、よけい怪奇に思えてくる。
シフトワイヤーはハンドルポストの所から出ている。左グリップの回転シャフトにつながる。グリップを捻ることで、シフトアップ・ダウンを行う・・・。なるほど、操り人形的な仕組みは良くわかる。
そのワイヤーの箇所に白いプスチックでできたガイド風のパーツがある。ブラケットだそうで、「ベスパファイル」ではまずこれを外すことになっている。最初の作業はこのブラケットを取っ払う。
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白いプラ製のがブラケット。真ん中にスペンサーを挟み、3パーツ構成。50s/100も同様だ。まず固定している2本のビスを抜く。 |
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シフト側の1本だけが顔を出した。しかし上2枚は外れたが、肝心の白いブラケットを抜き出すことができない。 |
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良く見て納得する。ブラケットはワイヤーとアウターのガイドだった。スロットル側とシフト側、この3本のワイヤーを位置決めし支えている。頭の中の作業構図は新しいワイヤーを入れ易くするために、メーター穴よりアウターを若干引っ張り出すはずでいた。
ところがこのような段階まで持っていくには、白いブラケットを外さないかぎりできそうもない。一見、簡単にアウターを引っ張りだすことができそうな感じがするが、ブラケットはアウターのガイドも兼ねており、ブラケットを外そうとするとアウターも一緒に着いてくる。
ブラケットにはシフトインナーを入れ易くするための切り抜きがあり、ここからインナーワイヤーを外すのさえもえらく苦労した。アウターがブラケットに刺さっているからなのだ。
右手でワイヤーを引っ張る→左手でアウターを下に引く・・・、なんていうアクションができない。作業エリアがあまりにも狭すぎた。
ブラケットを取り出すには、シフト側とスロットル側、それぞれのインナーとアウターを分離しないかぎりNGなことが判明。おそらく懸命な方は、ほかに違うやり方もあるだろうが、ボクはこの段階でブラケットのスロットル側はタッチせず(キャブ側でフリーにしたら、のちの調整が面倒)、シフト側のインナー+アウターをブラケット側より外した後、アウターをなんとか上方に引っ張りだそうとしていた。
・・・うーむ、この文章ではややっこしくて良くわからんですね。
そうこう格闘しているうちに、この状態でワイヤーが交換できそうな感じがしてきた。先が細いラジオペンチ等でアウターを支持し固定。ワイヤーを挿入する。ようはワイヤーが交換できればOKなのだから・・・
※この状態・・・とは
スロットル側はブラケットに着いたまま。シフト側はインナーワイヤーを抜き、アウターもブラケットより分離してある。50s/100とはブラケットの部番が異なり、イラストでは形状が若干異なるようだ。ET−3はやりにくいのかも知れない?
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アウターを引っ張り出さなくても、この状態でワイヤー交換はOK。古いワイヤーを抜く時は1本つづ扱ったほうがよい。
シフトは前方より向かって手前がシフトダウン側、後ろよりがアップ側。 |
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ステンレス製の自転車用はタイコ部分がまったく異なり、今回交換したのは純正に準じたワイヤーを使用。
ワイヤーカッターは必需品。購入しておいて良かった。
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無事にワイヤーが貫通。最初っからこうすれば良かった。ワイヤーをシフトリンケージにかけ、ブラケットを戻す。ライトケース内はかなりスペースが限られる。スペンサーの順で、最後にコの字型のステーを取り付ける。
ところがこれが素直に入らないではないか。なかなか元の位置に戻せないのだ。そもそも、このステーの役割を理解していない。取り外す際、夢中で取り払ってしまった。見れば、左右ハンドルシャフトにV字型の切り込みがある。ここにステーを合わせてセットすることがわからなかった。
どういうことかと言うと、ハンドルシャフトの内部は2重パイプになっており、グリップやスロットルを捻って回転しているのが外側のパイプ。内側パイプはこれらの軸になっている。共回りを防止するのがこのステーなのだ。知恵の輪のように戻した。
この構造を見て、素直に感動する。一見、単純な構造だが、考えに考え抜いた構成でベスパはできている。素晴らしい。
2回目からは、たぶんスムーズに交換できると思う。しかし、もし仮に出先だったら少しもお手軽とは言えない。はたして、路上で交換できるのだろうか? 切れないことを祈るしかない。うーむ、やっぱりステン化か?
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